ギャンブル分析の中心概念1-大数の法則

平均値は理論的な期待値に近づく

賭けを分析する上で,まず重要な概念は何と言っても確率論における「大数の法則」でしょう.これは,賭けの回数を多くするに従って,様々な平均値はその理論的期待値に近づいてゆくという定理です.

例えば,ナンバーズの番号を予測する!?でお話したことが,これに相当すると考えられます.再度,この大数の法則と言う文脈で説明してみましょう.ナンバーズ3のストレート(3桁の数字を正確に当てる)くじにおいて,第1回からの当選番号を順番に並べてゆくとしましょう.
191,981,194,105,592,792,708・・・
このとき,すべての数字が出る頻度は回数を重ねるにつれ,10分の1(10%)に近づいてゆく,というのが大数の法則が言っていることです.

実際に,この「回数が多くなる」というのが,どのくらいなのかが問題です.賭けの種類と,問題にしている「期待値」によって,この回数はかなり大きくならなければなりません.改めてナンバーズの番号を予測する!?の内容を復習してみましょう.

ナンバーズ20回目までに出る数字の個数は60個です.この60個の数字の中で,「6」が出ているのはたったの1回!1.7%に過ぎないのです.「60」と言う数字の個数(ナンバーズ20回)は大数の法則が働き,すべての数字の出る頻度が10%に近づくと言うには,不十分な回数であることが分かります.

20回目までは,0から9までの数字の出現頻度が1.7%から18.3%と幅があるのに対し,600回目(数字としては1800個)になると9.1%から 11.4%と,10%の周りにかなり近づいて来ることが分かります.この600回を十分と考えるか,不十分と考えるかは議論の分かれるところです.考えている問題に依存するでしょう.

このように,ギャンブルの回数を多くすれば,様々な値は理論値に近づいてくるでしょう.逆に言うと,回数が少ないうちは,理論値から離れる可能性も高くなります.回数が少ない時は,大負けしている場合もあれば,大勝ちしている場合もあるわけです(標本平均の分散が大きい).

「複雑な法則」ほど大数の法則が効きにくい

大数の法則から,サンプル数が多くなれば10個の数の出現比率は確率上の平均値である10%にに近づいて行きます.しかし,平均値に近づくまでにはかなりのサンプル数が必要となることが分かります.単純な数の出現比率だけでこうですから,「3が出た次の回には6が出やすい」「前々回に3が十の位に出現し,前回に9が出た場合は,今回は1が出る」というように法則を複雑にすればするほど,その偏りが平均に近づくまでの回数はかなりの時間を要する事が分かります.(要するに複雑な予測方法は,誤りである事も簡単には検証できない).言い換えると「法則を複雑にすればするほど,外れていないように見せることができる(=その法則が当たっているかのように騙されやすい)」と言えます.
大数の法則だけではギャンブルは分析できない

このように大数の法則は,ギャンブルを分析する上で重要な概念となります.このような事は,既に確率理論が発展した1960年代辺りには明らかになっていたと言えるでしょう.いわゆるギャンブル分析の「古典」とも言えるお話です.しかし,このような確率理論だけでは,十分に賭けを分析できないのは,既に7.賭けやギャンブルを分析する学問分野は?でお話しました.次は,このことについて考えてみましょう.