単一財のオークション

単一財のオークションはオークション理論の基本となるもので,大きく2つの形式に分けられます.1つは絵画やマグロの「競り」のように,他者の入札価格を知りながら動的に行動するもので公開オークション(open auction)と呼ばれます.公開オークションは,マグロや絵画の競りのように,値段が上昇していく競り上げ式オークション(ascending auction)が一般的です.これはオークション理論では英国式オークション(English auction)と呼ばれます.これに対し公開オークションには価格が下降していく競り下げ式オークション(descending auction)もあり,オランダの花市場が代表的な例であることからオランダ式オークション(Dutch auction)と呼ばれています.

公開オークションに対して,希望価格を紙などに書いて主催者に渡すなど,他者に価格が分からないようにして入札を行うオークションは,封印オークション(sealed bid auction)と呼ばれます.大雑把に言えば,公開オークションは「競り」に,封印オークションは「入札」に対応するものです.封印オークションは,最高額入札者が自分の価格(第1位価格)で購入する第1価格オークション(first price auction)が一般的で,古書や古文書の入札などがこれに対応します.これに対して,最高額入札者が自分の次に高い価格(第2位価格)で購入する第2価格オークション(second price auction)と呼ばれるものがあり,オークション理論では重要な役割を果たしています.このオークションは動的な「競り」である英国式オークションを,静的な入札である第1価格オークションと比較するために第1価格オークションに対応させるためVickrey (1961) が考えたもので実際にはあまり例がないと思われていましたが,Lucking-Reiley (2000) は切手のオークションが,多くはこのタイプであることを明らかにしました(後に紹介するLucking-Reileyの本も参照のこと).

ネットオークションが出現する前までは,上記の4つのタイプが主なものでしたが,オークションネットオークションでは自動入札方式(proxy bidding)と呼ばれるオークションが出現しました.これは上記の英国式オークションを計算機が自動的に実現するもので,英国式オークションと第2価格オークションの中間形式と考えることができます.

単一財オークションの形式(まとめ)

 公開オークション 英国式オークション(競り上げ式)
オランダ式オークション(競り下げ式)
 封印オークション 第1価格オークション
第2価格オークション
 ネットオークション 自動入札方式