(93-12-1)
title: お米を考える本
author: 井上ひさし選/日本ペンクラブ編
from: 光文社 円
reviewer: 渡辺 治(watanabe@cs.titech.ac.jp)

理工学分野の学部生に適したよい本だと思います.4月から アクセスでも取り上げられているように,今や米不足の問題 は我々の身近な問題である.しかもガットのウルグアイ・ラウ ンドの関係で,米の自由化問題がマスコミなどで盛んに議論さ れている.「でも,安い米を輸入できるのなら,なぜ自由化し ないの?」と疑問に感じる人もいるだろう.私も「物事それほ ど単純ではない」とは思いつつも「新聞や雑誌の記事を見ても よくわからないなぁ」という気持ちでいた.そこで遅蒔きなが ら少し勉強してみようと思って読んでみたのが本書である.

この本は15人の専門家が書いた論説文から成っており,そ れぞれの立場から,日本における米作の重要性,米の自由化が もたらす問題,などについて述べている.どれもが丁寧にわか りやすく書かかれており,内容も難しくはない.むしろ「この 程度のことは常識として知っておくべきだった」と反省させら れるほど,基本的なことである.「なぜ自由化はだめなの?」 という素朴な疑問を持っている人にはとくにお勧めする.

最後に,本書を読んだ者として,少なくとも「米の自由化は 日本の将来にとって重大な問題であり,ガットなどでの取り引 き材料にすべきではない」ということだけは言っておきたい.