(94-5-2)
title: パパはごきげんななめ
author: 西 成彦,伊藤 比呂美
from: 集英社文庫 450 円
reviewer: 渡辺 治(watanabe@cs.titech.ac.jp)

これは「良いおっぱい悪いおっぱい」の続編,というか姉妹 版.「良いおっぱい悪いおっぱい」の隣に積んであったので, つい買ってしまった.

「良いおっぱい悪いおっぱい」を読んで,「う〜ん」とうな ったのだったが,この本は,「う〜ん,こりゃおもしろい!」 であった.

今度は,伊藤比呂美さんの夫,西成彦さんの妊娠,出産,乳 児期の育児の体験記.当然,西さん自身は妊娠・出産はしてい ないので,乳児期の育児の体験談が中心だ.「こりゃおもしろ い!」というのは,「良いおっぱい」と違って,いろいろと分 析してある点だ.確かに「良いおっぱい」では,知らないこと をこれでもか,これでもか,と示されて「う〜ん」とうなって しまったが,それはあくまで事実,あるいは体験談である.一 方,本書では,赤ん坊がどうしてそう振舞うのか,父親である 著者がなぜこのような行動をするのかをもっともらしく分析し てある(あるいは分析しようと試みている)のである.これは, もしかすると性の差ではないか?という気がしてくるのだ.

西さん曰く,「母親は父親に対して圧倒的に有利だ.まず, 赤ん坊を出産したという点.そして乳児期の唯一の食糧である, 乳を出すという点.この差は未来永劫乗り越えられない差なの だ(各所に書かれていたことの要約).」つまり,母親(女性) は,その存在で,すでに(赤ん坊)にとって価値があるのだ. それに負けまいとすると,父親(男性)は,どうしても,戦略 を練ったり,分析したり,そして理論武装をしたりせざる得な い.西さんの分析を読んでいるとそんな気がしてしまうのであ る.