本書は題名どおり停滞気味の活字文化に喝を入れようという ものである。まず、筆者の批判は若者に「活字離れ」というレ ッテルを貼り付け、自助努力を怠ったマスコミに向けられる。 しかし、それは表向きのもので、筆者の真意は「本を読むべ きだ。本を読むということが自身の思考力を身につけることな のだ。人は言葉で思考し、その思考を言葉によって整理する。 人にとって思考と認識とは、人である限り続く義務であり権利 であるはずのもので、そのことの結果によって得るものが、 ”自由”と呼ばれるものだ。」という一文に表れているように 知性を持つという人としての職分を忘れ、雑誌から得られる浅 はかな情報だけで満足している現代の若者への強烈な警句(シ グナル)を発することにあると、僕には読めた。 さらに、知識人を気取る活字人間も指弾の矢面に立たされる。 彼らは本に関して「俗悪」か「崇高」かという二項対立として しか捉えず、問題の深遠部にまで至っていないという。この指 摘は僕には耳の痛いものである。 本書は、難解で僕には良く分からなかった箇所もいくつかあ ったが、活字に対して真摯な態度で向き合うことの素晴らしさ を教わったような気がする。
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