簡単に内容を暴露してしまうと,14歳の少女ソフィーが, ある哲学者からの手紙を契機に壮大な哲学史を学び,そして 自分の「世界」を広げて自ら選んだ道へ「投じて」いくとい うファンタジーな物語,とでも書けようか.括弧を付けた意 味は読んだ人には理解できると思うけれでも,未読の人には 後半の面白さの幾分かを欠いてしまったかもしれない. しかし,この本の面白さはこんなものじゃない.ソクラテ ス,デカルト,カント,ヘーゲルなど,難しいはずの哲学を 非常にやさしく説いていて,しかも意表をつく構成,ミステ リアスな展開,などが読む者を飽きさせないのだ.哲学は難 解で,自分には関係ないという偏見を,思いっきり吹っ飛ば してくれる好著である.また,「訳者のあとがき」にもある 通り,人によっては「不思議の国のアリス」,「鏡の国のア リス」,「かもめのジョナサン」,「バラの名前」,「文学 部唯野教授」などに雰囲気が似てるなあと感じるかもしれな い. しかし,これは哲学に無知な私の感想であって,「存在論」 に見識をお持ちの方は,さらに深読みして楽しめる領域があ るようである.実は,この本を読んだ後,「ハイデガーの思 想」などを読んでいるのだが,監修者が「あとがき」で触れ ている指摘が,何となくわかってきたと言えなくもない.子 供から大人まで,いろんなレベルで楽しめることは確か.売 れている本には,やはり訳があるようだ.
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