(95-10-2)
title: 失敗しない完全マニュアル「ベトナムで仕事を成功させる本」
auther: 増田 辰弘、鈴木譲二
from: かんき出版 1400 円
reviewer: 金子 一代 (HGG02136@niftyserve.or.jp)

これだけ情報過多の社会にいながら、全体像の見えにくいベ トナムについて、本書では、国家政策からインフラ、慣習、ベ トナム人気質にまで言及しながら、ベトナムをビジネスの相手 国として選んだ人々を対象に、まさに「どのように動けばよい かを具体的に」示している。総括すれば、中規模で中腰くらい の熱心さで取り組むのがベストで、むしろ中小企業にも十分チ ャンスがあるとのことである。

 まず、第1章「こうすればベトナムで成功する!」ではすで に成功している6社の進出例をあげ、ベトナム進出のイメージ を読者に描かせたあと、成功要因である「地方への進出」「未 開市場」「地方政府との連携」を抽出する。第2章以下では、 さらに詳細に、進出前に押さえておくべき基本ルール、インフ ラの現状とお役所対策、手続きと失敗しないための予防策、が 語られる。

興味深かった点は、ベトナム政府の国家事業育成への執念、 日本とベトナムとの共通性、そして、現地に送るべき人間像で あった。

例えば、先進企業の進出は「一業種一社」に限られ、あとは その企業の技術ノウハウを吸収して国内企業を育てるとか、本 格的な「生産委託」ではなく小規模な「合併」が望まれるとか、 外国企業を優遇しすぎると工業化を加速しすぎるという理由か ら、NIES、ASEAN諸国に比べ「格段に条件の悪い」外 資優遇制度が設けられている、などである。

共通性では、ベトナムは日本と同様の”大衆嫉妬社会”で、 ベトナム人とはどんな人か、と質問されれば著者は「日本人と いちばん似ている」と答えるそうである。通貨の単位「ドン」 は日本語の「銅」が語源、他にも「会議=ホイギー」「歌手= カーシー」「同志=ドンチー」など似た言葉があり、日本のテ レビ番組「おしん」は爆発的人気を得たそうである。

さて、そのような現地に出向する社員であるが、何でも食べ られ、どこでも眠れて、誰とでも話せる異能型の人、ミスター ○○株式会社という正統派の会社人間タイプではなく、人の心 の痛みがわかり、人の心で動けるアウトサイダー的なタイプの 人、がよいとのことである。

ハウツーものでありながら、これからの国の息吹が伝わって くる、そのような本である。