賞金額の高いナンバーズの番号

(以前のサイト(2010年頃)に人気が高かった記事です。内容が古くなってしまったのですが、未だにアクセスも多いようなので、再度掲載します。内容が古いことに注意してください。)

番号は予測できないが、期待値が高くなる番号はある?

ナンバーズの番号を予測する?では「ナンバーズの当選番号の系列を見ると偏りがあって予測できそうな気になることもあるが、それは乱数や確率に対する錯覚である」という話をしました。ナンバーズの当選番号はほぼランダムで、当選番号を予測する方法はないと考えられます。しかしナンバーズでは、その当選番号を選んだ人が少なければ、当選者の賞金は多くなります。これは賭けられた金額を(主催者が控除した後に)当選者で分けるナンバーズの仕組みによるものです。したがってナンバーズでは皆が選ばない「不人気な数」を選ぶことで賞金が高くなると考えられます。賭けの分類において、ナンバーズを「勝つチャンスは完全に運によるが、利得は技術により高くなる」というクラスに分類した理由です。

 ナンバーズ3のストレート(3桁の数字をその順番も含めて当てる)を例にして、人気・不人気な数を考えてみます。表1は、第41回から第600回までの560回のナンバーズのうち、いくつかの条件に当てはまる当選番号の出現回数と賞金の平均金額を表にしたものです。(最初の40回をはずしたのは、このような「くじ」は開始直後には傾向が安定しないと考えたからです。)

表1 ナンバーズ3ストレートの条件別平均賞金額(第41回から第600回まで)

「4と9の両方がつき、同じ数が2つ並び、日付に読めない」数を狙え

560回すべての平均賞金額は98,747円です。当選確率が1000分の1であることを考えると期待値は約99円です。ナンバーズは200円で、主催者の控除率は約50%なので、期待値はまさに理論通りであることが分かります。ちなみに、通常の宝くじも控除は約50%で、宝くじはわりに合わないギャンブルであることが分かります。

どんな数が人気・不人気なのか考えてみましょう。まずロトなどでも知られていることですが、人は誕生日や記念日などをラッキーナンバーとして選ぶことが多いようです。したがって、日付に読める数に比べ、日付に読めない数は人気がないと考えられます。例えば、私の誕生日は6月28日ですが、これに相当する628などは日付に読める数です。これに対し、一般的に下二桁が32以上の数は日付に読めません。ここで3月5日などは305と考え、035とは読まないこととしました。表を見ると、日付に読める数は平均を下回り、読めない数は平均を上回ることから、この考え方がある程度正しいことが推測されます。

またホテルの部屋番号などで分かるように、日本人は「死」を意味する4や「苦」を意味する9という数を忌み嫌う傾向にあるため、このような数も不人気と考えられます。確かに4や9がつく数も平均を上回っており、特に4と9の両方がつく数は111,664円と高い平均賞金額となります。

同じ数が3つ並ぶ数字は560回のうち8回出ていますが、いずれも賞金はぐっと低くなります。例えば第309回には777が出ていますが賞金は57,100円です。第600回までの最低賞金額は第476回の39,800円ですが、この時の当選番号は111です。ナンバーズで3つ同じ数字となる数を選ぶほど馬鹿なことはない。これに対し、同じ数が2つだけある数字の賞金は非常に高くなることが分かります。これらは人気・不人気だけではなく、ボックス・ストレートに対するナンバーズの賞金配分の仕方にも理由があるかもしれませんが、詳細は分かりません。

これらをすべて合わせて「4と9の両方がつき、同じ数が2つ並び、日付に読めない」という条件を満たす数(994,494など)を見てみると、このような数は4回出ており平均賞金額は155,650円と非常に高くなることが分かります。

ちなみに表2は第1回から600回までのナンバーズの高額賞金のベスト10です。この表を見ても「2つ同じ数があり、4か9がつき、日付に読めない」数は賞金が高いことが裏付けられます。ちなみに最高金額は第2回の988で、初期の頃の不安定さも重なって高額の当選金になっています...

表2 第1回から第600回までのナンバーズ3ストレート賞金額ベスト20

ナンバーズのちょっと良い数が分かりました。しかし残念ながらこのような不人気番号は、それが知れると皆が選ぶために人気番号となってしまいます。もう、遅いかもしれません。これについては機会をみて、もう少し考察を加えてみたいと思います。(じゃんけんに必勝法と...も参照してください)。

いやそれより、1番不人気な「2つが同じ数で日付に読めずなおかつ4か9が付く数字」を買っても期待値はかなりマイナスです.そこが問題ですよね…

このような傾向は既に知られており、「スポーツくじと宝くじの賭けの市場の効率性」,ファイナンスハンドブック 18章,今野浩・古川浩一監訳,1997、朝倉書店(私が翻訳)でも、同様の傾向が述べられています。

(参考文献)「スポーツくじと宝くじの賭けの市場の効率性」,ファイナンスハンドブック 18章,今野浩・古川浩一監訳,1997、朝倉書店。(原本はJarrow, R. A., Masksimovic, V. and Ziemba W. T. eds.,Handbooks in Operations Ressearch and Mangement Science,vol.9 Finance, Ch18.)

ナンバーズの番号を予測する?

20回までのナンバーズ3の番号の60個の数字を考察する

ナンバーズは物理的な機械でランダムに数が選ばれるため、競馬やTOTOなどと異なり当選番号を予測することができないと考えられます。しかし、過去の当選番号の系列を調べてみると、傾向があるように思えて番号が予測できるような気がしてきます。

このような「確率・統計上のゆらぎ」と「人間の幻想」については多くの文献が考察をしていますが、ここでは、1つの例を取りあげ、このような幻想について考えてみたいと思います。

このような傾向の中で一番単純なものは、頻度の多い数と少ない数を調べるものです。ここでは、ナンバーズ3の20回目までの当選番号において、どの数字が何回出たかを調べながら、このことを考えてみます。皆さんもここで、ナンバーズが始まって、まだ20回の時の気持ちになり、考えてみてください。

ナンバーズ3は1回の抽選で3つの数字が選ばれて、それを当てるくじです。20回までには、合計60個の数字が出現します。以下の表1には20回までの当選番号、表2には各数字の出現個数をまとめました。

表1:ナンバーズ3 第1回から第20回までの当選番号

表2:ナンバーズ3における数字の出現回数と出現比率 (第20回まで)

ここで20回目までの当選番号を見ると、6が1回しか出ていません。20回までには全部で60個の数字があり、平均で1つの数字は6回も出現するのはずなのに、たったの1回!これは何らかの傾向があると言わざるを得ない!という気になってきます。

まず、これはそんなに起こり得ない現象なのでしょうか?そこで10個の数から、でたらめに1つ数字が60回選ばれる時に「6」が1回以下しか出ない確率を求めてみましょう。まずはじめに「6」が1回も出ない確率を求めてみると、これは6以外の数字が60回すべて選ばれる確率であり、$$0.9^{60}=0.002$$ となります。次に「6」が1回だけ出る確率を計算するとです。合計すると「6」が1回以下しか出ない確率は$$_1 C_{60}\times 0.1 \times 0.9^{59}=0.014$$で、1.4%の確率でこのような現象が起こることが分かります。しかし、「6」に限らずに、少なくとも1つ以上の数字が1回以下しか出ない確率と考えると更に高くなるわけで(約14%)、このようなことは決して珍しい事ではないことが分かります。


表3:ナンバーズ3における第700回までの数字の出現回数と出現比率。1-20は1回目から20回目まで、21-700は21回目から700回目までを表す。

20回目以降に6が出やすいわけでも、出にくいわけでもない

20回目以降に6が出やすいわけでも、出にくいわけでもない
20回目まで、ほとんど6は出ていない。しかもそれ以降も6の出現確率は低い。これではやっぱり6が出にくいのかと言えば、そうではありません。20回目までの6の出現比率が1.7%であったのに対して、600回目までの合計の出現比率は9.1%になり10%にぐっと近づいていることが分かります。数の出現比率が10%に近づくのは、21回目から600回目までの全体の個数が多くなり、20回目までの影響が無視できるほど小さくなったからで、6が多く出たからではないのです。6に限らずすべての数字の出現比率を見てみると、20回目まででは1.7%から18.3%と幅があるのに対し、600回目になると9.1%から11.4%と、10%の周りに近づいていることが分かります。

大数の法則から、サンプル数が多くなれば10個の数の出現比率は確率上の平均値である10%にに近づいて行きます。しかし、平均値に近づくまでにはかなりのサンプル数が必要となることが分かります。単純な数の出現比率だけでこうですから、「3が出た次の回には6が出やすい」「前々回に3が十の位に出現し、前回に9が出た場合は、今回は1が出る」というように法則を複雑にすればするほど、その偏りが平均に近づくまでの回数はかなりの時間を要する事が分かります。(要するに複雑な予測方法は、誤りである事も簡単には検証できない。)