ものすごく乱暴に言うと「ゲーム理論(非協力ゲーム)には、戦略形ゲームと展開形ゲームがあり、戦略形ゲームは利得行列で表し、展開形ゲームはゲームの木で表す」ということになります。乱暴すぎて、かなり間違ってますが、最初から細かいことは覚えられないので、ざっくりこうしておきましょう。
さらに戦略形と展開形について、初めて学ぶときは
- 戦略形ゲームは、プレイヤーが同時に行動を選ぶ「同時ゲーム」。代表的なゲームはじゃんけんなど。
- 展開形ゲームは、プレイヤーが順番で行動を選ぶ「交互ゲーム」を含む「すべてのゲームを表現する」ゲーム。代表的なゲームはチェスや将棋など。
くらいに考えると良いです。これも乱暴すぎますけど。
ゲーム理論では「同時か、逐次か」と言った「時間」が重要なのではなく、相手の行動が観察できるかどうかが重要です。例えば、2人でじゃんけんをするとき、
- まず1人(先手)が相手に分からないように「ぐー、ちょき、ぱー」のどれかを選んで紙に書いて封筒に入れ、
- もう1人(後手)は封筒を開けずに 後から「ぐー、ちょき、ぱー」を選び
- 先手の書いた紙が公表されて勝負をする
としましょう。この場合は、時間としては交互に行動していますが、同時にじゃんけんをしているのと変わりありません(同時にじゃんけんすると、後出しっぽくなる人がいるのを考えると、こっちのほうがずっと「同時」かも知れない) 。先手は後手の行動を知らず、後手も先手の行動を知りません。この場合は戦略形ゲームになっていると言えます。
このように(すべてのプレイヤーが)他のプレイヤーの行動が観察できずに行動を選ぶ場合は戦略形ゲームです。オークションや競りを例に挙げれば、封印された紙に価格を書いて、最後に競り人がそれを開いて一番高額の人に出品された物を売る、と言った「封印入札」なども戦略形ゲームの典型的な例と言えます。
これに対して、チェスや将棋や囲碁では、自分より前に行動した人がどのような行動をしたかがすべて分かります。このようなゲームは完全情報ゲームと呼ばれますが、展開形ゲームで分析されるゲームの代表例です。オークションや競りでは、オークションハウスでの絵画の取引やマグロの競りなど、誰かが値段をつけたのを見て、それより高く買いたい人は更に高い価格をつける...などの「イングリッシュオークション」は展開形ゲームの典型例と言えます。同じ競りやオークションでも、ルールや形式によって違うゲームと考えられる点に注意です。
戦略形ゲームは「利得行列」と呼ばれる道具を用いて表現し、展開形ゲームは「ゲームの木」と言う道具を用いて表現します。戦略形ゲームと展開形ゲームについては、別の投稿で詳しく説明します。