篠原じゃんけんとその解

篠原さんというゲームデザイナーの方が発案した「よくばりじゃんけん(または、篠原じゃんけん)という面白いじゃんけんがあるそうです。

知らなきゃ損する? ボードゲームに欠かせない「ゲーマーじゃんけん」と「よくばりじゃんけん」のルール

そのナッシュ均衡を一橋大学の宇井先生が求めています。以下に、宇井先生の原稿があります(篠原じゃんけんの説明も、その中にあります)

「よくばりじゃんけん」の分析

宇井先生の求め方は秀逸です。このじゃんけんは、グーを出すと、それによって脱落する人が出て人数が変わるため、普通は再帰的にしか求められないのですが、宇井先生は混合戦略均衡の性質と対称性をうまく利用して、きれいに解かれています。

多人数で勝者を決定するじゃんけんには「わたなべじゃんけん」がありますが、「生き残るかどうか!」というゲーム性と面白さは、さすがゲームデザイナー!ですね。

ゲーム理論で高校生の探究学習!

2022年10月に、八王子東高校で講義した「ゲーム理論で探究学習!」のスライドです。

(スライド)ゲーム理論で探究学習!(PDF)

高校1年生を対象としたものです。

2021年度から、八王子東高校のゲーム理論をテーマにしたプロジェクトに協力させて頂いてます。身近な問題や社会の問題を、簡単なゲーム理論のモデル(数理モデル)によって考えることで、抽象的思考力を高めたり、そのモデルを分析することで探究的な見方や考え方を深めることを目標としています。

2021年は、囚人のジレンマやコーディネーションゲームを中心にゲーム理論そのものを教えるような講義をしました。しかし、短い時間(50分)でゲーム理論を紹介するのは難しく、その効果はほとんどないように思えました。そこで、今回は生徒さんが拙著ビジュアルゲーム理論でゲーム理論を勉強していることを前提にして、どのようにゲーム理論を探究学習につなげるか、を講義することとしました。

問題に詳しくなろう

身の回りの物事を、簡単なゲーム理論(利得行列、ゲームの木)で考えてモデル化して答を出し、実際の自分たちの考え方との違いを議論をしたり、利得を少し変えて結果がどのように変わるかを探究したりして、論理的に物事を分析する力、考える力を身につけてもらえないだろうかと考えています。

朝日新聞「グリコじゃんけん」にコメント

朝日新聞の記事「グリコじゃんけん、いつからあった?」で、グリコじゃんけんの必勝法について、コメントしました。

本サイトのグリコ・チョコレート・パイナップルゲームのゲーム理論による解をもとに、記者さんから取材を受けたものです。

記事には、以下のデジタル版(2022年9月1日版)もありますが、有料会員しか読めないようです(^^;)
グリコじゃんけん、いつからあった?(朝日新聞)

「高校生のためのゲーム理論入門」の動画公開です

昨年(2021年)の10月に東京都立大学のオープンユニバーシティで講義した「高校生のためのゲーム理論入門」(高校生のための大学授業体験シリーズ)の動画が、東京都立大学のホームページ内でOCWとして公開されることになりました!

2021年度東京都立大学オープンユニバーシティ・高校生のための大学授業体験シリーズ 高校生のためのゲーム理論入門

他のゲーム理論講義動画とともにどうぞ

高校生のゲーム理論研究:八王子東高校「探究学習」の成果発表会に行ってきました!

2021年度は筑波大附属高校の他に、八王子東高校でも「探究学習」のゲーム理論プロジェクトのお手伝いをしました。3月12日(2022年)には、その成果発表会があり、参加させて頂きました。

当日はゲーム理論だけではなく、物理化学、生物、哲学、心理学、スポーツ、ジェンダーなど、さまざまなプロジェクトのすべての成果が発表されていました。多くの会場で同時並行的に発表会が行われ、さながら学園祭のようでした。

成果発表会のプログラム

生徒たちの間に実行委員があり、発表会が行われるようです。すごい!(委員長と副委員長の開会と閉会の挨拶も素晴らしかったです)。

教室での発表の様子

ゲーム理論プロジェクト発表は、主に体育館のポスターセッションでした。発表数も多く、ゲーム理論プロジェクトだけでも、全部を聞けなくて残念でした。

体育館での発表

以下は研究テーマの例です。

  • 親子のお手伝いから考える努力に対する報酬のインセンティブ
  • ブラフはどのような場面で成功するのか
  • Eカードにおける最良の選択は何か
  • チキンゲームで考える恋愛必勝法
ポスターセッション!
ブラフの有効性

今回のゲーム理論プロジェクトは高校1年生の発表でした。ゲーム理論は高校1年生には少し難しいかなとも思たのですが、皆さん、私の「ビジュアルゲーム理論」を参考書にし、よく勉強して、素晴らしい成果を発表していました。⇒アマゾン

ビジュアルゲーム理論

今回の探究学習のお手伝いを通じて、混合戦略などを、どのように高校生に教えればよいか、考えさせられました。高校生を主にターゲットにしながら、ゲーム理論を面白く教えるような教材を作っていきたいと思うようになりました。

筑波大附属高校で「総合的な探究の時間」のお手伝い

筑波大学附属高校で「総合的な探究の時間」のお手伝いをしてきました。高校1年生の「数学的モデリング」をテーマにしたグループで、ゲーム理論の講演をしたり、彼らの研究に助言を与えたりしました。

講演の様子

生徒たちは、ゲーム理論を中心に、自分の興味がある研究テーマに取り組みます。微分も確率もほとんど習っていない高校1年生とは思えないほどの高度な研究に取り組んでいました。テーマの例を挙げると

  • 特殊ルール(手札のシャッフル)がある3人ババ抜きの戦略
  • 3人人狼の戦略とシミュレーション
  • ゲーム理論の観点からの交通渋滞の回避
  • LINEによる異性とのやり取りの戦略

です。また、特に高校生にとってはゲーム理論によるスポーツの戦略に興味があるようで

  • バスケットボールの戦略(3Pシュートと2Pシュートのどちらを打つべきか)
  • 野球の戦略(高校野球における初級ストライクを打つべきかどうか)
  • バレーボールの戦略(アタックはストレートかクロスか)
  • サッカーの戦略(ドリブルか、パスか)

などのテーマが多く見受けられました。

野球の戦略

スポーツの戦略と混合戦略については、いくつかの研究はあるものの、それを詳しく解説したものはありません。改めて、そのような解説を書いてみようかと思いました。

多くの学生のテーマに向き合い、短い時間でアドバイスを与える担当の山田先生は、本当に凄いなと思いました。学生たちの探求は、まだまだ続くようです。

東京都立大学 ゲーム理論 過去の試験問題

東京都立大学「ゲーム理論1」「ゲーム理論2」の過去の試験問題と解答です。一部欠落しているものもあります。2019年度以降の問題は公開していません。講義資料(スライド)や宿題などはこちらにあります。

ゲーム理論1

ゲーム理論2

プログラム更新履歴

更新履歴:ナッシュ均衡を計算するアプリ

(comp_nash1.html, input_bimatrix.py, comp_nash1.py)

  • ver.1 2022/01/03 公開
  • ver.1.1 2022/01/04 例外処理を追加:戦略数が2以上でないとエラーになる。利得行列に空欄があるとエラーになる(htmlのinputタグのrequired属性を設定)。途中で方程式が解けないとエラーになる(正則でないとか、退化しているとかのメッセージを出す。)。利得行列の初期値に0を入れておく(htmlのinputタグのvalueに0を設定)。
  • ver.1.2. 2022/01/06 絶対値が極端に大きい(1e10以上)数値や無限大(inf)の利得は受け付けない。利得行列にNaNがあるときに受け付けない例外処理。
  • ver.1.3. 2022/01/06 正則ではない利得行列への対応
  • ver.1.4. 2022/01/07 戦略数が10以上の場合のバグへの対応:行列Aのi行j列をaijという文字列でデータを受け取っていたが、a23だと2行3列となるが、a111だと1行11列なのか、11行1列なのk分からない、という問題が発生。aizjとzで区切ることにした。
  • ver.1.5 2022/01/13 2X2は受け付けないことにしました(試験や宿題で使われるのを防ぐため)。学生が宿題や試験に使うことを防ぐため2×2の行列は計算できなくなりました(2022.01.13)。 この本や この本や このページで勉強して下さい。また、入口となるページをhtmlで書いていましたが、すべてpyファイルにし、pythonで出力することにしました。最初に入り口としてリンクされたページ。http://nabenavi.net/ap/comp_nash1はなくなりましたが、twitter等で拡散していましたので、.htaccessにてリダイレクトするようにしました。
  • ver.1.6 2022/06/09 要請があり、宿題だと受け付けない処理をつけました。

NABENAVI.net 計算プロジェクト

戦略10以下の2人戦略形ゲームのナッシュ均衡を(混合戦略まで含めて)すべて計算するプログラムなど、趣味で作ったweb上の計算アプリケーションを提供しています。