日本経済新聞の「やさしい経済学」に「ゲーム理論の深化と経済課題」というテーマで9回の連載を行いました。(2025年10月27〜11月6日掲載)。
今回は、毎回、過去のノーベル経済学賞を取り上げ、そのテーマがいかにゲーム理論と関係しているかについて解説しました。
ゲーム理論は、経済学の多くの理論の基礎となっています。一見するとゲーム理論と関係ないように思えるテーマも、実はゲーム理論が深く関係しています。それを知ってもらうことが、この連載の目的です。
取り上げたノーベル経済学賞とその分野は以下のとおりです:
| 連載回 | 受賞者 | 分野 |
| 第1回 | 1994年ジョン・ナッシュ、ジョン・ハーサニ、ラインハルト・ゼルテン 2005年 ロバート・オーマン、トーマス・シェリング | ゲーム理論 |
| 第2回 | 2014年 ジャン・ティロール | 産業組織論 |
| 第3回 | 2008年 ポール・クルーグマン | 貿易理論と経済地理学 |
| 第4回 | 2007年 レオニード・ハーヴィッツ、エリック・マスキン、ロジャー・マイヤーソン 2012年 アルヴィン・ロス、ロイド・シャープレイ | メカニズムデザイン マーケットデザイン |
| 第5回 | 2020年 ポール・ミルグロム、ロバート・ウィルソン | オークション理論 |
| 第6回 | 2001年 ジョージ・アカロフ、マイケル・スペンス、ジョセフ・スティグリッツ | 情報の非対称性 |
| 第7回 | 2009年 エリノア・オストロム | 共有資源の管理 |
| 第8回 | 2016年 オリバー・ハート、ベント・ホルムストローム | 契約理論 |
| 第9回 | 2002年 バーノン・スミス ダニエル・カーネマン | 実験経済学 行動経済学 |
もちろん受賞者の研究自体が、直接ゲーム理論を用いているわけではありません。たとえばクルーグマンの研究はそれほどゲーム理論に依拠しているわけではありませんが、それでも貿易理論や国際経済学にはゲーム理論が多く使われています。このようにゲーム理論が多くの経済学分野で使われ、塗り替えていったことを読者に知ってもらうことが、本稿の目的になっています。


