Quoraの「確率に関して「今でも腑に落ちない」という話はありませんか?」という質問の回答に、とても面白い問題があったので、転載させて頂きます。(問題を掲載した回答者の方に無断で掲載しています、すみません。)

ある家に子供が2人いることが分かっています。その家に行ったとき、女の子が一人出てきて挨拶しました。もう一人の子供が男の子である確率を求めなさい。

回答者の方の考察です

①男男、②女女、③女男、④男女の4つのパターンで4分の1ずつであり、女の子が出てきた時点で、①がなくなるので、条件付き確率として3分の2になるような気もします。

しかし、どう考えても、もう1人が男の子である確率は1/2なので、腑に落ちないなあ、というわけです。

女の子が挨拶に出る確率によって変わる

この問題は、客が来たときに、2人の子どものうちどちらが(先に)挨拶に出るかという確率が設定されていないところが、ポイントなのだと思います。

一方が挨拶する確率が1/2の場合

①男男である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は0
②女女である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は1
③女男である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は1/2
④男女である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は1/2

です。ここで女の子が挨拶に来たということは②である可能性が、③や④よりも2倍高い、ということです。

①、②、③、④である確率は、0:2:1:1になっていなければならない。つまり

a)女の子が挨拶したという条件のもとで、①男男である確率は0
b)女の子が挨拶したという条件のもとで、②女女である確率は1/2
c)女の子が挨拶したという条件のもとで、③女男である確率は1/4
d)女の子が挨拶したという条件のもとで、④男女である確率は1/4

となります。もう一人の子供が男の子である確率はa)とc)とd)の場合ですから、足して1/2になります。男の子である確率が1/2である場合と一致します。

この計算は、ベイズの定理を使った計算ですね。もう少し考えてみましょう。

男の子が必ず挨拶する場合

そうすると、女の子が挨拶したということは、もう②の女女の場合しかありません。ですので、もう1人が男の子である確率は0になります。

このことを上記のベイズ計算に従って、算出してみましょう。

①男男である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は0
②女女である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は1
③女男である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は0
④男女である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は0

です。①、②、③、④である確率は、0:1:0:0になっていなければならない。つまり

a)女の子が挨拶したという条件のもとで、①男男である確率は0
b)女の子が挨拶したという条件のもとで、②女女である確率は1
c)女の子が挨拶したという条件のもとで、③女男である確率は0
d)女の子が挨拶したという条件のもとで、④男女である確率は0

となります。もう一人の子供が男の子である確率はa)とc)とd)の場合ですから、足して1になります。

女の子が必ず挨拶する場合

もしも男女、女男のときに、女の子が必ず挨拶に来る(女の子が来る条件付き確率が1)ならば、

①男男である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は0
②女女である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は1
③女男である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は1
④男女である条件のもとで、女の子が挨拶する確率は1

です。①、②、③、④である確率は、0:1:1:1になっていなければならない。つまり

a)女の子が挨拶したという条件のもとで、①男男である確率は0
b)女の子が挨拶したという条件のもとで、②女女である確率は1/3
c)女の子が挨拶したという条件のもとで、③女男である確率は1/3
d)女の子が挨拶したという条件のもとで、④男女である確率は1/3

となります。もう一人の子供が男の子である確率はa)とc)とd)の場合ですから、足して2/3になります。回答者さんの考えと一致しますね。

このように「男女、女男のときに、女の子が挨拶に来る確率」を考えると、この問題も「腑に落ちる」のではないでしょうか。さらに、2人が挨拶に来るとき、挨拶に1人も来ないとき、などが起こり得ると考えれば、バリエーションも増えてきます。

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