じゃんけん必勝法

じゃんけんでは統計的にグーが出やすく、チョキが出にくいことが知られています。また、wiredの記事(2014年5月)では「中国の科学者らが、300人の学生に何度もじゃんけんをさせて彼らがどのような手を選ぶかを観察し、最も勝てる可能性の高い戦略を見つけ出した。」とあります。これに基づいて、必勝法を考えてみましょう。

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初心者にはパーを出せ

もはや古典とも言える有名な結果は、桜美林大学の芹沢光雄教授のデータです。「学生725人に、のべ11567回ジャンケンさせたところ グーが4054回(35.0%)、パーが3849回(33.3%)、最も少ないのはチョキで3664回(31.7%)」というものです。(例えば、日本じゃんけん協会「勝利の法則」に掲載されています。なおこの記事は「2009年6月20日の日本経済新聞土曜版「日経プラスワン」に掲載された」とされているものが多いのですが、私が見たのはそれより前の読売オンラインでした。その記事では「卒論でそれを調べた学生がいた」というものだったと記憶しています。)

世界じゃんけん協会(The world rock paper scissors society) のホームページでは、以前は出典は不明ながら「グーが35.4%、パーが35.0%、チョキが29.6%」となっていました。(現在はこの記事はなくなっています)。やはりグーが一番出やすい手だと言われています。このことから、何も条件がなく初めての人とじゃんけんをするときは「パーを出すと勝つ確率が上がるので、パーを出せ」とされています。

ちなみに私のゲーム理論の講義では、この話をした後に学生とじゃんけんをしてみます。そして私はチョキを出すのですが、学生もこの必勝法を鵜呑みにして、パーを出すことはほとんどありません。相手も自分もこの事実を知っていると、その必勝法は使えません。

ゲーム理論における2人じゃんけんの解(ナッシュ均衡)は「グー、チョキ、パーを1/3の確率で出す」です。ゲーム理論では、相手が自分の行動を読んでも、自分も相手も利得がそれ以上は高くならない手を選び合うと考えます。 「グー、チョキ、パーを1/3の確率で出す」 以外の解は、それに従うことを相手が知れば、もう解にはならないのです。自分が興味があるのはこのような統計が人々に知られるようになると、人間の行動が変わり、統計が変わるのかどうかです(それについての考察はこちら「じゃんけんの必勝法と行動経済学・行動ファイナンス」)。10年後に調べてみると、じゃんけんではチョキを出す人が多くなっていると面白いですね。

続けてじゃんけんする場合

1回きりではなく、何回もじゃんけんをする場合は、人間には心理的なクセがあります。こちらのwiredの記事「ついに科学は「じゃんけんで連勝できる方法」を解明した」(2014年5月)では「中国の科学者らが、300人の学生に何度もじゃんけんをさせて彼らがどのような手を選ぶかを観察し、最も勝てる可能性の高い戦略を見つけ出した。」とあります。これに基づいて、必勝法を考えてみましょう。

もし負けたら、次はその手に勝つ手を

この記事によると「あるプレーヤーが1回目のじゃんけんで相手に勝った場合、2回目のじゃんけんで同じ手を繰り返す可能性は、手を替える可能性よりもはるかに高い」ということです。

ということは、「もし負けたら、(その負けたときの)相手の手に、勝つような手を選べ」ということになります。

2回連続して勝ったら、次は相手と同じ手に

一方、この記事によると「あるプレイヤーが2回以上負けた場合、そのプレイヤーは手を替える可能性が高い。しかも、相手が自分を負かしたときに出した手ではなく、前回相手に勝てたはずの手に替える可能性の方が高い」ということです。

ということは、「もし2回連続して勝ったら、次は(その2回勝ったときの)相手と同じ手を選べ」ということになります。

他に有名な必勝法としては 「じゃんけんを続けてするときは「相手は異なる手を出しやすいので、いま相手が出している手に負けるような手を出せ」」と言うのがあります。例えばパーであいこになったとき、次は相手はパーと異なる手(グーかチョキ)を出しやすいので、グーを出せば勝つ確率は高くなる、と言ったものです。特に、2回同じ手であいこになったときは、相手が手を変える確率はずっと高くなります。例えばパーで2回あいこになったときは、3回目にグーを出せば勝つ確率はずっと高いと言われています。

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