渡辺ゼミ募集情報(2025年度)

2024年10月27日更新

重要な日程

ゼミの内容

渡辺ゼミはゲーム理論を徹底的に勉強するゼミです。テキストは、私が書いた「一歩づつ学ぶゲーム理論」を使います。具体的には、以下のような内容を考えています。

テキスト(一歩づつ学ぶゲーム理論)

3年前期

  • 2週間ごとに学習テーマ(テキストの範囲)が決まります。
  • 1週目は、与えられたテーマを個人で予習して、演習問題を解いておきます。そして、本ゼミの前に自主ゼミで、分からなかったところを教えあいます。
日常のゼミの様子
  • 本ゼミでは演習問題をみんなで解き、理解を確認します。
  • 2週目には班を作り、テーマを応用した「モデル」を作って分析し、それをA4、2-3枚程度にまとめて発表し、議論します。
発表で作る資料の例
  • これを2週ごとに繰り返します。
  • 7月からは、個人で研究課題を決め、それを分析し、資料とスライドを作成して、7月末(または合宿)で、その内容を発表します。

3年後期

前期と同様に進めながら、卒論テーマを決め、卒論制作に移っていきます。

4年

卒論制作が中心になります。

ゼミの参加条件

1.ゲーム理論1を履修していること。ゲーム理論2も履修していることが望ましい。
2.ゼミの前に13時から自主ゼミがあります(いつもではない)。これに参加してください。
3.年1回行われるゼミ合宿に参加してください。9月中旬か下旬の予定です。また、年に4回くらい行われる懇親会(飲み会)に参加してください。演習時間だけではなく、渡辺ゼミという「チーム」を活発に盛り上げてくれるような人を募集します。

ゼミの考え方

私は2002年からゼミで皆さんと一緒に勉強してきました。そこで以下の2つのことを感じてきました。(1)学生の皆さんはテキストの内容と演習をよく理解できても、それを現実の問題にあてはめて、ゲーム理論でモデル化して分析することができない。しかし、その「モデル化」という能力はとても大切な力であり、そして(たぶん)それを学び習得する機会は、このゼミを除いてめったにこないだろう。したがって、ゼミでその能力を身に着けて欲しい。(2)大学の友人は人生においてとても大切だが、サークルや部活以外にその友人を作ることが結構難しい。ゼミを、その機会として、一生付き合える友人を作って欲しい。

渡辺ゼミは最初のうちは「文献を読み、それを発表する」という(当時のゼミの主流の)スタイルを取っていました。しかし、上記の理由から、2009年に「文献(テキスト)は各自で読んできてもらい、一週目は演習問題を解き、二週目は班でモデルを作成し発表する」という現在のスタイルに、ゼミを変えました。そして自主ゼミを3限から始め、そこで仲間と分からない部分を教え合ったり、モデルを考えたり、またその合間に世間話や悩みなどを話し(ここが大事!)、長い時間(と言っても3コマですが)を過ごすことによって、良い友人関係も作れるのではないかと考えました。

与えられた範囲のテキストを理解したり、演習問題を解いてきたりするための、自宅での学習時間は必要で、勉強はしなければなりませんが、水曜以外に拘束する日はなく、水曜以外は自分のスケジュールに柔軟に合わせることができます。

上記で述べたように、私のゼミは、学ぶだけではなく、友人関係を作るということも重視しているので、基本的に懇親会と合宿への参加をお願いしています。また、進度は、よくデキる人に合わせるのではなく、皆が理解することを目指すことにしています。ただ、よくデキる人も他の人に教えることによって、自分だけでは到達できない深い理解に達することができる、ということもあり、その人にとって無駄ではないと考えます。

3コマは長いように思えますが、ゆったりとしていて、無駄話も多くあるので(特に先生の無駄話が多いと言われます…反省しています)、楽しい時間を過ごせると思います。ただ無駄話もあり、進度も皆が理解することを目的としているので、「一人でできるだけ一生懸命先へ進み多くの内容を学びたい」という人には合わないかもしれません。勉強の効率は高いかどうかは分かりません。そこを理解して、志望して頂ければと思います。

説明会のスライド

説明会で使う予定のスライドです。参考にしてください。

ゼミの1年

夏合宿の様子

知っておいて!

  • 私は2024年度はサバティカルで授業がありませんでした。皆さんのゲーム理論の講義は法政大学の平井先生にお願いしました。今年はもゼミも持っていません。そのため、皆さんが3年生になったときは4年生の先輩はいません(来年の4月に4年生でゼミに入ってきた人がいる場合は別ですが)。
  • ですので、多くの皆さんとは会ったことはないと思います。
  • このホームページnabenavi.netには、ゲーム理論に関する情報と私に関するがいろいろと載っています。また、youtubeには私のゲーム理論のオンライン講義もあります。それらの資料や私に習ったことがある先輩たちの話も参考にしてください。

選考方法

エントリーシートで申し込み、面接によって選考します。志望者は以下の指示に従って下さい。

(1)【課題】渡辺ゼミを志望する動機と自己PRを400字-1200字にまとめ、エントリーシートから送って下さい。11月29日(金)締切です。
(2)面接を12月4日(水)に行います。あなたの面接可能な時間をエントリーシートに記入してください。氏名と大学のメールアドレスも忘れずに。また12月4日(水)の面接可能な時間(講義のない時間)を知らせて下さい(空きのない場合は昼休みと放課後を利用)。
(3)エントリー確認後、大学のメールアドレスに私から、面接時間の連絡が送られます。不明な点、連絡が来ない場合 nabe@tmu.ac.jp へ連絡を。

NHK高知「とさ金」に出演:「高知競馬 快進撃の舞台裏」

「高知競馬 快進撃の舞台裏」という特集のコメンテーターとして、NHK高知の制作番組「とさ金」に出演します。「競馬の経済学」を読んだディレクターから声をかけて頂きました。放送は今週の金曜6月21日19:30からの予定。高知県内だけの番組ですが、NHKプラスでは見られるようです。よろしければご覧ください!

収録の様子

追伸:
関連記事がこちらにあります。

追伸2:
好評につき、全国放送(7月13日(土)午前5:10-5:40)、国際放送(7月20日(土)午前5:15-5:45)でも放映されるようです。

備忘録:太平洋にも日本海にも流れる川と湖はある!

中央分水嶺によって、太平洋と日本海に流れる水は分かれるのだけど、その分水嶺付近に川や湖があれば、その川や湖は両方に流れているはずだ。登山をしなくても、巡れるような川や湖を調べてみた。

(1)分水嶺に川があると、その水は両方に流れる。

(2)人口的に疎水や用水が作られ、つながる場合もある

  • 猪苗代湖
    • 猪苗代湖の水は、もともとは日本海に流れるのだが、安積疎水によって、太平洋にも流れる
    • 安積疎水

備忘録:chromedriverが動かず、webdriver_managerからselenium managerへ乗り換え

背景

python+seleniumでchromeのバージョンアップに自動的に対応するために、webdriver managerを使っていたが、chromedriverのダウンロード環境が変わり、 webdriver manager がうまく動作しなくなった。したがって手動で chromedriver を更新しなければならなくなった。

しかし、seleniumの新しいバージョンにはselenium managerというのがデフォルトでついているようで、これを使うと webdriver_manager を使わなくても済む。これを使って上手くいくようになった。

対処した内容

(1)seleniumのアップグレード

pip install --upgrade selenium

バージョンが4.10.0以上になってくれればOK

(2)念のためwebdriver-managerをアンインストール

pip uninstall webdriver-manager

(3)コードからwebdriver_managerモジュールのimportを削除

from webdriver_manager.chrome import ChromeDriverManager

を削除

コメントアウトした

(4)ChromeDriverManagerを使っていた部分を変更

driver = webdriver.Chrome(ChromeDriverManager().install())

driver = webdriver.Chrome()

に変更。

これで動くようになったようだ、とりあえず。

参考にした情報

一歩ずつ学ぶゲーム理論

裳華房より2021年に出版した拙著「一歩ずつ学ぶゲーム理論」は初めて学ぶ者も数式でゲーム理論を理解できることを目指した教科書です.

モンティ・ホール問題の直感的説明は間違ってることが多い

※本記事に対してメールを頂き、それを受けて少し書き直しました。ありがとうございました。(2024/03/16)
※修正した記事が間違ってましたので、直しました。ご指摘頂いた方、ありがとうございました(2024.03.22)

モンティホール問題とは?

まずモンティ・ホール問題について説明しておきます。

司会者(モンティ・ホールさん)と回答者がいて、回答者の前にはA、B、Cの3つのドアがあります。1つのドアは当たりで豪華な商品があり、回答者はそのドアを当てます。2つのドアはハズレです。回答者が「当たり」のドアを当てる、というものです。

まず、回答者がが当たりと思うドアを1つ選びます。ここではAを選んだとしましょう。司会者は、当たりのドアを知っていて、回答者が選ばなかったドアのうち、1つのドアがハズレであることを示します。ここではBのドアがハズレだと示されたとしましょう。

ここで司会者が回答者に言います。「あなたには、もう一度ドアを選び直すチャンスがあります。そのままにしますか?それとも変えますか?(stick or switch?)」
今回の場合、Aのまま留まるか?Cに変えるか?ということになります。

さて、回答者はドアを変更すべきでしょうか?それとも留まるべき?

この問題、AとCの2枚のドアのうち1つが当たりなので、変えても留まっても当たる確率は半々(1/2)のように思えます。しかしこの問題の答は「変えたほうが良い」です。留まる(Aのまま)だと当たる確率は1/3、変えると(Cに変更)当たる確率は2/3になります。

なぜ、そうなるかについては、ベイズの定理を使って、数々のネットの情報や本で説明されています。拙著「ゼミナールゲーム理論入門」でも「一歩ずつ学ぶ ゲーム理論」でも、もちろん解説されています。

「直観的説明」には注意が必要

「お、じゃあネットで検索してみようか!」と思ったあなた!ちょっと待ってください。この問題に対して「直感的に説明すると...」とした説明には、間違っていることが結構あります。本稿の意図は「直感的な説明は間違っていることが多いので、ベイズの定理で理解しましょう」ということなんです。

特に「確率は変わらない」的な説明は、間違いです。例えば「最初に選んだドアが当たる確率は1/3、それ以外が当たる確率は2/3だから、ハズレのドアを開けた後も、最初に選んだドアの当たる確率は1/3で、それ以外が当たる確率は2/3」と言う説明は誤りです。正しい説明は「情報によって確率は変わる」です。

最初に各ドアの当たる確率が等しいと、この「確率は変わらない」という説明も(たまたま)正しいように見えるのですが、最初に当たりやすいドアと、当たりにくいドアがあると考えれば、この説明が正しくないことが分かります。

A,B,Cのドアがあり、どれか1つが当たりだとします。ただし、Aのドアは当たりやすく当たる確率は0.5、Bは当たりにくく当たる確率は0.2、Cは0.3であるとします。

回答者は最初に(当たりやすそうな)Aのドアを選んだとしましょう。

ここで司会者(解答を知っている)は、選んでないドアからハズレのドアを1つ開けます。Bのドアが当たりならCが開き、Cのドアが当たりならBが開きますね。さて、Aのドアが当たりの場合はBとCのどちらを開けても良いのですが、ここで司会者がBとCのドアを開ける確率は同じ1/2であるとします(ここを変えると答も変わります)。

さて、司会者がBのドアを開けて、ハズレであることを示したとします。回答者はドアを変えたほうが良いんでしょうか?

「最初にAのドアが当たる確率は0.5、それ以外は当たる確率は0.5、この確率は変わらない」という説明だとフィフティ・フィフティで、変えても変えなくとも確率は1/2のような気がします。

しかし、この場合はAのドアのままだと当たる確率は5/11、Cに変えると当たる確率は6/11です。この場合は、やはりドアを変えたほうが良いです。

ちなみに司会者がCのドアを開けてハズレであることを示すと、 Aのドアのままだと当たる確率は5/9、Bに変えると当たる確率は4/9です。この場合は、ドアを変えない方が良いのです。つまり、この場合は「司会者がBのドアを開けたときはCに変えたほうが良く、Cのドアを開けたときはAのドアのままが良い」です。

モンティ・ホール問題の本質は、ドアを開けたことが情報になっていて、開ける前の事前確率と開けた後の事後確率が変化している、ということにあります。なので「元の確率と変わらないから」 的な説明は間違っていることが多いのです。

A,B,Cのドアが当たる確率が、それぞれ0.54、0.13、0.33として同じ状況だとしましょう。司会者がドアを開ける前は「Aのドアが当たる確率は0.54、それ以外は当たる確率は0.46」です。司会者がBのドアを開けたとき、回答者はドアを変えたほうが良いのでしょうか?確率は変わらない」のならば「Aのドアが当たる確率は0.54」なので、変えないほうが良いですね。

しかしこの場合も「Aのドアのままだと当たる確率は0.45、Cに変えると当たる確率は0.55」になります。司会者がドアを開ける前は、Aを選んだ方が、それ以外のドアが当たる確率より高いにも関わらずです!

計算方法は、ベイズの定理を勉強してください。このように、この問題は「直感的な」理解はなかなか難しいのです。ネットの説明でも「情報によって確率は変わる」という回答を読むと良いでしょう。

なぜ間違いを犯すのかという研究がある

認知科学や認知心理学では、なぜ人間はこの問題に対して正しい答が出せないのか、どのような点が間違いを引き起こすのかについて研究されています(いました)。興味にある方は、以下の本を参考にしてください。

市川 伸一 (著)、日本認知科学会 (編集)、確率の理解を探る―3囚人問題とその周辺 (認知科学モノグラフ 10) (1998)/5/1

ちなみに、若い頃、先輩の金融工学の大家KJ先生(川喜田二郎氏ではないよ)に「認知科学にこんな研究があります」と話したことがあります。そのときKJ先生曰く:

渡辺君。こんな研究は意味ないよ。
皆んながベイズの定理を正しく理解すれば良いだけだ!

…でした。直感的な理解ではなく、ベイズの定理で理解しましょう。

ゲーム理論で考えると?

さて、この問題では「回答者が差したドアが当たりの場合は、司会者は残りの2つのドアを等しい確率で開ける」とされていました。これによって、回答者は、指さしたカーテンの中で、まだ開いていないドアに変えたほうが当たる確率が高い、となっています。

でも「司会者ができるだけ回答者に賞品を当てて欲しくない」と考えると、ドアをどのように開けると良いのでしょうか?これはゲーム理論になりますね。ゲーム理論のテキストの演習問題なんかでは、見かけるものです(私の記憶だと、たとえば「Scott Bierman and Luis Fernandez, “Game Theory with Economic Applications,” Addison Wesley, (1997)」などに載っていた気がします。)。

答はどうなるでしょうか?ベイズの定理とゲーム理論を勉強した皆さんなら簡単ですね!

2023年第1回O Rセミナー 『エンジニアのためのゲーム理論-ビジネスへの応用とマーケットデザイン』

5月26日(金)に、私がオーガナイザーを務めさせて頂き、2023年第1回O Rセミナー 『エンジニアのためのゲーム理論-ビジネスへの応用とマーケットデザイン』をオンラインで開催致しました。

今回は(あの)東京大学マーケットデザインセンター長の小島武仁先生、慶応大学の松林伸夫先生と私でセミナーを行いました。


プログラム等の詳細はここにあります。

当日は50名余りの方にご参加いただきました。ありがとうございました。

朝日新聞「グリコじゃんけん」にコメント

朝日新聞の記事「グリコじゃんけん、いつからあった?」で、グリコじゃんけんの必勝法について、コメントしました。

本サイトのグリコ・チョコレート・パイナップルゲームのゲーム理論による解をもとに、記者さんから取材を受けたものです。

記事には、以下のデジタル版(2022年9月1日版)もありますが、有料会員しか読めないようです(^^;)
グリコじゃんけん、いつからあった?(朝日新聞)

「高校生のためのゲーム理論入門」の動画公開です

昨年(2021年)の10月に東京都立大学のオープンユニバーシティで講義した「高校生のためのゲーム理論入門」(高校生のための大学授業体験シリーズ)の動画が、東京都立大学のホームページ内でOCWとして公開されることになりました!

2021年度東京都立大学オープンユニバーシティ・高校生のための大学授業体験シリーズ 高校生のためのゲーム理論入門

他のゲーム理論講義動画とともにどうぞ

筑波大附属高校で「総合的な探究の時間」のお手伝い

筑波大学附属高校で「総合的な探究の時間」のお手伝いをしてきました。高校1年生の「数学的モデリング」をテーマにしたグループで、ゲーム理論の講演をしたり、彼らの研究に助言を与えたりしました。

講演の様子

生徒たちは、ゲーム理論を中心に、自分の興味がある研究テーマに取り組みます。微分も確率もほとんど習っていない高校1年生とは思えないほどの高度な研究に取り組んでいました。テーマの例を挙げると

  • 特殊ルール(手札のシャッフル)がある3人ババ抜きの戦略
  • 3人人狼の戦略とシミュレーション
  • ゲーム理論の観点からの交通渋滞の回避
  • LINEによる異性とのやり取りの戦略

です。また、特に高校生にとってはゲーム理論によるスポーツの戦略に興味があるようで

  • バスケットボールの戦略(3Pシュートと2Pシュートのどちらを打つべきか)
  • 野球の戦略(高校野球における初級ストライクを打つべきかどうか)
  • バレーボールの戦略(アタックはストレートかクロスか)
  • サッカーの戦略(ドリブルか、パスか)

などのテーマが多く見受けられました。

野球の戦略

スポーツの戦略と混合戦略については、いくつかの研究はあるものの、それを詳しく解説したものはありません。改めて、そのような解説を書いてみようかと思いました。

多くの学生のテーマに向き合い、短い時間でアドバイスを与える担当の山田先生は、本当に凄いなと思いました。学生たちの探求は、まだまだ続くようです。