高校生のゲーム理論研究:八王子東高校「探究学習」の成果発表会に行ってきました!

2021年度は筑波大附属高校の他に、八王子東高校でも「探究学習」のゲーム理論プロジェクトのお手伝いをしました。3月12日(2022年)には、その成果発表会があり、参加させて頂きました。

当日はゲーム理論だけではなく、物理化学、生物、哲学、心理学、スポーツ、ジェンダーなど、さまざまなプロジェクトのすべての成果が発表されていました。多くの会場で同時並行的に発表会が行われ、さながら学園祭のようでした。

成果発表会のプログラム

生徒たちの間に実行委員があり、発表会が行われるようです。すごい!(委員長と副委員長の開会と閉会の挨拶も素晴らしかったです)。

教室での発表の様子

ゲーム理論プロジェクト発表は、主に体育館のポスターセッションでした。発表数も多く、ゲーム理論プロジェクトだけでも、全部を聞けなくて残念でした。

体育館での発表

以下は研究テーマの例です。

  • 親子のお手伝いから考える努力に対する報酬のインセンティブ
  • ブラフはどのような場面で成功するのか
  • Eカードにおける最良の選択は何か
  • チキンゲームで考える恋愛必勝法
ポスターセッション!
ブラフの有効性

今回のゲーム理論プロジェクトは高校1年生の発表でした。ゲーム理論は高校1年生には少し難しいかなとも思たのですが、皆さん、私の「ビジュアルゲーム理論」を参考書にし、よく勉強して、素晴らしい成果を発表していました。⇒アマゾン

ビジュアルゲーム理論

今回の探究学習のお手伝いを通じて、混合戦略などを、どのように高校生に教えればよいか、考えさせられました。高校生を主にターゲットにしながら、ゲーム理論を面白く教えるような教材を作っていきたいと思うようになりました。

筑波大附属高校で「総合的な探究の時間」のお手伝い

筑波大学附属高校で「総合的な探究の時間」のお手伝いをしてきました。高校1年生の「数学的モデリング」をテーマにしたグループで、ゲーム理論の講演をしたり、彼らの研究に助言を与えたりしました。

講演の様子

生徒たちは、ゲーム理論を中心に、自分の興味がある研究テーマに取り組みます。微分も確率もほとんど習っていない高校1年生とは思えないほどの高度な研究に取り組んでいました。テーマの例を挙げると

  • 特殊ルール(手札のシャッフル)がある3人ババ抜きの戦略
  • 3人人狼の戦略とシミュレーション
  • ゲーム理論の観点からの交通渋滞の回避
  • LINEによる異性とのやり取りの戦略

です。また、特に高校生にとってはゲーム理論によるスポーツの戦略に興味があるようで

  • バスケットボールの戦略(3Pシュートと2Pシュートのどちらを打つべきか)
  • 野球の戦略(高校野球における初級ストライクを打つべきかどうか)
  • バレーボールの戦略(アタックはストレートかクロスか)
  • サッカーの戦略(ドリブルか、パスか)

などのテーマが多く見受けられました。

野球の戦略

スポーツの戦略と混合戦略については、いくつかの研究はあるものの、それを詳しく解説したものはありません。改めて、そのような解説を書いてみようかと思いました。

多くの学生のテーマに向き合い、短い時間でアドバイスを与える担当の山田先生は、本当に凄いなと思いました。学生たちの探求は、まだまだ続くようです。

東京都立大学 ゲーム理論 過去の試験問題

東京都立大学「ゲーム理論1」「ゲーム理論2」の過去の試験問題と解答です。一部欠落しているものもあります。2021年度以降の問題は公開していません。講義資料(スライド)や宿題などはこちらにあります。

ゲーム理論1

ゲーム理論2

NABENAVI.net 計算プロジェクト

戦略10以下の2人戦略形ゲームのナッシュ均衡を(混合戦略まで含めて)すべて計算するプログラムなど、趣味で作ったweb上の計算アプリケーションを提供しています。

ゲーム理論 オンライン講義 一覧

東京都立大学 ゲーム理論 オンライン講義

2020年コロナ対応でオンデマンドにした大学の講義動画をyoutubeに公開しています。以下は、そのタイトルの一覧です。

部分ゲーム完全均衡(ざっくりとした説明)

部分ゲーム完全均衡について、ざっくりと説明します。

部分ゲーム完全均衡(Subgame Perfect Equilibrium, SPE)とは「ある点から後がゲーム(部分ゲーム)とみなせるときには、プレイヤーはそのゲームのナッシュ均衡を選んでいる」と考えるゲームの解です。

次のようなゲームを考えてみましょう。

このゲームは最初にプレイヤー1がYNかを選択。Nを選べば右上の戦略形ゲーム(同時ゲーム)に突入し、Nを選べばゲームは終了してプレイヤー1と2の利得が共に2となるゲームです。

このゲームの解はどうなると予想されるでしょう?プレイヤー1は最初の点で、Yを選んだときに、その結果がどうなるかを予想しなければなりません。右上の戦略形ゲームでは、ナッシュ均衡は(B,B)なので、プレイヤー1の利得は1になると予想されます。

このことからプレイヤー1は最初の点でYを選べば利得は1、Nを選べば利得は2になるのでNを選ぶと考えられます。部分ゲーム完全均衡は「プレイヤー1は最初の点でYを選び、次の戦略形ゲームでプレイヤー1と2は共にBを選ぶ」となります。

部分ゲーム完全均衡を正確に学ぶためには、(1)展開形ゲームはどのように書けて、それを戦略形ゲームに変換するにはどうするのか、(2)展開形ゲームにおいて、ある点から後をゲーム(部分ゲーム)とみなせるのはどういうときか、を学ぶ必要があります。それはまた今度にします。今はこちらの動画を参考にしてください。

部分ゲーム完全均衡はナッシュ均衡の1つ

部分ゲーム完全均衡はナッシュ均衡の1つ(精緻化されたもの)です。例を使って、(ボンヤリとですが)説明してみましょう。

次のゲームを考えます。

  • 最初にプレイヤー1がUDを選びます。Uを選べばゲームは終わり、プレイヤー1と2の利得は1と3になります。
  • プレイヤー1がDを選ぶと、プレイヤー2がLRを選びます。Lを選べばゲームプレイヤー1と2の利得は0と1、Rを選べばプレイヤー1と2の利得は共に2となります。

このゲームは、プレイヤー1がUDを選び、プレイヤー2がLRを選ぶ戦略形ゲーム(同時のゲーム)と考えることもできます。

ここで「交互にプレイする展開形ゲームを、同時にプレイする戦略形ゲームに変換できるのか?」という疑問があるかと思います。確かにそこが最大のポイントですね。確かにプレイヤー2は、プレイヤー1がDを選んだのを知ってから、LかRを選ぶわけです。しかし、プレイヤー2はゲームが始まる前に「もしプレイヤー1がDを選んだらどうするか」を決めておくことはできるはずです。またプレイヤー1は、「もしDを選んだらプレイヤー2はどうするか」を推測しなければ自分の選択を決めることができません。プレイヤー1の頭の中では、プレイヤー2がどうするかは、自分が選択をする前(ゲームが始まる前)に決まっていなければなりません。このように展開形ゲームでは「すべてのプレイが行われる前に、各プレイヤーはどの点で何が選ばれるかを決定しておく」として、戦略形ゲームとして考えることができるわけです。

この戦略形ゲームのナッシュ均衡は(U,L)(D,R)の2つです。

一方、このゲームの部分ゲーム完全均衡はどうなるでしょう。プレイヤー2が行動する点は部分ゲームと考えることができます。プレイヤー2はLを選べば利得1、Rを選べば利得2ですからRを選びます。このプレイヤー2の行動を推測すると、プレイヤー1はDを選びます。

部分ゲーム完全均衡は「プレイヤー1がDを選び、プレイヤー2がRを選ぶ」です。この考え方は完全情報展開形ゲームバックワードインダクションと同じですね。このように完全情報展開形ゲームでは部分ゲーム完全均衡はバックワードダクションの解になるのです。

この部分ゲーム完全均衡は、戦略形ゲームに変換したときのナッシュ均衡の1つ(D,R)になります。このように部分ゲーム完全均衡はナッシュ均衡の1つになるのです。

均衡の精緻化

ナッシュ均衡がすべて、部分ゲーム完全均衡になるわけではありません。ここで、部分ゲーム完全均衡ではない(U,L)というナッシュ均衡が、どういうものかを考えてみましょう。図では以下のようになりますね。

このナッシュ均衡では、各プレイヤーが(U,L)が起こると予想しています。プレイヤー2は、プレイヤー1がUを選ぶと予想すれば、Lを選んでもRを選んでも利得は同じなので、Lを選んでも悪くはありません。そして、プレイヤー1は、プレイヤー2がLを選ぶと予想すれば、Uを選ぶことが最適です。したがって、この戦略の組は「すべてのプレイヤーにとって、相手がその戦略を選ぶならば、自分にとって最適な戦略を選んでいる」ようなナッシュ均衡になるのです。

確かにプレイヤー2は「プレイヤー1がUを選んだと予想したときは、Lを選んでもRを選んでも利得は同じ」です。しかし、このゲームは同時のゲームではありません。予想ではなく、実際にプレイヤー1がDを選んだ場合には、プレイヤー2は、もはやLを選ばずRを選ぶでしょう。

このように展開形ゲームを戦略形ゲームに変換すると、「プレイヤーが選択した行動の情報」を考慮せずに、プレイヤーの推測を考えることになってしまうように見えます(そう見えますが、本当にそうかどうかは、難しいところです)。

そのため、変換した戦略形ゲームのナッシュ均衡をそのまま解として考えると不完全で、展開形ゲームの構造を考慮して、ナッシュ均衡の中から適切でない解を除く必要があります。これを均衡の精緻化(equilibrium refinement)と呼びます。部分ゲーム完全均衡はナッシュ均衡の精緻化による解の1つです。

まとめ

  • 部分ゲーム完全均衡は「ある点から後がゲーム(部分ゲーム)とみなせるときには、プレイヤーはそのゲームのナッシュ均衡を選んでいる」と考えるゲームの解
  • 部分ゲーム完全均衡はナッシュ均衡の1つ
  • ナッシュ均衡から、適切でない解を取り除き、解の候補を絞り込むことを均衡の精緻化と言う
  • 完全情報ゲームにおいては、部分ゲーム完全均衡はバックワードインダクションにいよる解になります。

東京都立大学 2020ゲーム理論1 オンライン講義(2020:コロナ対応)

一般向けの原稿や講演など

ゲーム理論に関する一般向けの投稿や講演の履歴、インタビュー記事などをまとめています。(研究業績に記したものと、一部重複があります)

  • 研究論文や学会発表などの研究業績、著書などは、別にしてこちらにあります。
  • 大学での講義と教育履歴は、別にしてこちらにあります

投稿や記事

  1. ゲーム理論の基礎知識(6回のweb連載)、株式会社イプロスからの依頼
  2. 「なぜ非常時にトイレットペーパーがなくなるのか?-経済学で見る買い占め行動」、望星、2021年6月号、44-50、東海教育研究所、2021。
  3. 「ノーベル経済学賞でわかった、「ヤフオク!」を100%使いこなす方法」、講談社「現代ビジネス」、2020年10月27日
  4. 「デマ拡散で買い占め」のワケ:識者に聞く対処法(日経MJ、2020年5月7日)
  5. 「初めてのゲーム理論編」(誌上講義)、週間ダイヤモンド、特集「ゲーム理論入門」、2018年8月4日。
  6. 「企業経営に活かすゲーム理論(後編)」、渡辺隆裕、調査月報、11月号,38-43, 2014。
  7. 「企業経営に活かすゲーム理論(前編)」、渡辺隆裕、調査月報、10月号,38-43, 2014。
  8. 「ゲーム理論入門/「ゲーム理論」は数学か?」、渡辺隆裕、数学セミナー、2014年10月号、 636号、ゲーム理論の数理。
  9. 「囚人のジレンマから見る価格競争」(もし経済学で日本の公共工事を論じたら第2回), 建設マネジメント技術, 32-37, 2013.
  10. 「経済学では公共工事をどうみるか」(もし経済学で日本の公共工事を論じたら第1回), 建設マネジメント技術, 3-6, 2013.
  11. 「経営者のためのゲーム理論入門」(第1回-第18回)、戦略経営者(TKC全国会)、2011年4月号から2012年9月号まで連載。
  12. 「ゲーム理論のキーワード」,現代思想, vol.36, 44-57, 2008.
  13. 「ゲーム理論の基礎知識」, ゲーム理論プラス(経済セミナー増刊号), 37-50, 日本評論社, 2007.
  14. 「ネットオークションでの賢い入札方法とは」, 経済セミナー, 2006年増刊号「経済学が分かる本」, 2006.
  15. 「解説、ゲーム理論とは」(日経ビジネスAssocie 2006年1月3日号)。
  16. 「企業の社会的責任と情報公開-ゲーム理論の観点から」, ESP, No.403, 23-26 , 2005.
  17. 「急成長するネットオークション」(2004年4月19日産経新聞コメント)。

一般の方向けの講演など

大学での講義(教育履歴、非常勤講師等)は、別にしてこちらにまとめています。

  1. 「高校生のためのゲーム理論入門」<高校生のための大学授業体験シリーズ>東京都立大学オープンユニバーシティ。2022年10月16日(オンライン)
  2. 八王子東高校「探求学習」(2021年10月-2022年1月、3回程度)
  3. 筑波大学附属高校「総合的な探究の時間における探究学習」(2021年10月-2022年1月、3回程度)
  4. 「ゲーム理論って何だろう?」、八王子東高校で講義、2020年11月20日、朝日新聞社企画「プロフェッサービジット」。
  5. 東京都管理職候補者研修(2007年-)
  6. 伊藤忠テクノロジーソリューションズ「ゲーム理論で考える交渉と入札」(2018年1月18日)
  7. 数学検定協会「数学コーチャー研修会」(2015年6月6日東京、6月20日京都)
  8. 「ゲーム理論って何だろう」北海道室蘭栄高校Super Science Highschool講演(2016年10月7日)
  9. 麹町アカデミア「ゲーム理論入門」(全4回、2015年)
  10. 東京工業大学東京工業大学プロダクティブリーダー養成機構「異分野チャレンジ学」(2010年5月18日、2011年1月18日)
  11. 筑波大学ビジネススクール企業科学専攻:(2009年3月)
  12. シブヤ大学「情けはあなたのためになる~ゲーム理論が明かす「情けはひとのためならず」の真実~」(2008年10月18日)。
  13. 東京都特別区職員研修所研修「ゲーム理論と制度設計」(2009年12月7日)
  14. 日本生産性本部「労使交渉などに役立つ論理的思考 ~ゲーム理論を学ぶ」(2013年10月28日、2014年10月23日、2015年10月30日、2016年2月6日、)
  15. 中小企業大学校「経営後継者コース」(2004年-2006年)
  16. 関西電力 社内研修(2007年11月17日、2008年11月15日、2009年11月14日、12月5日、2010年11月13日、12月4日、2012年1月14日、1月28日)
  17. 住友経営テクノロジーフォーラム(2007年1月)
  18. Link and Motivation 社(2005年7月)
  19. 八王子学園都市大学「いちょう塾」(2005年10月)
  20. 政策研究大学院大学「ゲーム理論」(2004年-2006年)
  21. 東京都立大学公開講座(2003年2月)
  22. 岩手県滝沢村「青春ゼミナール」(2000年「賭けの科学」120分1回)

それ「協力ゲーム」じゃないから

ゲーム理論において、間違いられやすい用語は「協力ゲーム」だ。

多くの場合、世の中の状況は「競争」と「協力」に分けられる。
そこで、一般の人(?)は、競争を非協力ゲーム、協力や協調を協力ゲームと呼びがちだ。

呼びがちな人にとって競争とは、「一方が勝ち、一方が負ける」ような状況、例えば、将棋とか囲碁などの遊戯の<ゲーム>、スポーツなどを意味している。
一方、協力とは、交渉とかコーディネーションや囚人のジレンマなどなど、両者の行動によっては、良くなるウィンウィンの状態が存在する状況を意味しているように思える。

ゲーム理論では、上記の状況は両方とも非協力ゲームとして分析される。
あえて上記の状況を呼ぶのならば、競争はゼロサムゲームで、協力はノンゼロサムゲームである。

非協力ゲームと協力ゲームとは何かについては、別の記事に書いてあるが、ここでは使われている用語から見分ける方法を書いておこう。

利得行列、戦略、行動、ゲームの木、ナッシュ均衡、進化などの用語が使われているならば、それは非協力ゲーム。
特性関数、コア、シャープレイ値、仁などの用語が使われていれば、それは協力ゲームである。

静岡大学集中講義「社会システム工学」 講義情報

2021年9月下旬に非常勤で集中講義を予定している静岡大学工学部数理システム工学科の講義「社会システム工学」の講義情報です。ゲーム理論を講義する予定です。

以下の講義資料は、変更されることがあります。

オンデマンド学習について

完全ではありませんが、講義内容に沿った動画をオンデマンドで見ることができます。以下を参照してください。
http://nabenavi.net/gametheory/

これは文系(東京都立大学経済経営学部)向けのもので、本講義にある「数式の表記について」という部分に対応している動画はありませんが、宿題や演習には十分対応できます。以下のようなときに利用してください。

  • 通信環境が良くない場合
  • 講義時間の都合がつかない
  • 予習と復習

以下には、講義内容とURLの対応表があります。

youtube対応表

一歩ずつ学ぶ ゲーム理論

裳華房から2021年秋に出版された「一歩ずつ学ぶ ゲーム理論-数理で導く戦略的意思決定-」のページです。

裳華房のページへのリンク

アマゾンのページへのリンク

正誤表

本にはいくつか誤りがあり、ご迷惑をおかけしています。以下に正誤表(PDF)があります。
ご指摘いただいた方々、特に千葉大学の岸本先生とそのゼミの皆さんには感謝致します。

正誤表(2022.05.24)

演習問題解説

各章末の演習問題で、難しいと思われる問題や、詳しい説明が必要と考えられる問題についての解説(PDF)です。

演習問題の解説(ver2. 2022.02.15改訂)

なお、裳華房の本書のWebページにも同じものが掲載されています。

本の特長

  • 初めて学ぶ者も数式でゲーム理論を理解できるように、分かりやすい言葉で、省略することなく丁寧に、一歩一歩独りでも学ぶことができることを目指した教科書。
  • ゲーム理論を学ぶ本は、もはや専門書ではなく、教科書・テキストであるとの考え方に立って、さまざまな工夫をした。
  • 数式による定義は必ず言葉で言い換えて、例を使って説明し、必要なものには図解を加えるように心がけた。
  • 集合の用語や引数や述語論理の使い方など、数学に慣れた者には当たり前であっても、初学者が引っかかってしまう数学の概念には数学表現のミニノートとして解説を加えた。
  • 本書で何を学ぶのかについては最初のプロローグに示して、読者がどこまで学習したかが分かる地図を作り、各章のはじめに地図と現在の位置を示した。本文の中で重要な部分は太字にし、checkマークのアイコンを付けた。
  • 章のはじめにはキーワードを示し、終わりにはまとめを置いた。
  • 章末の演習問題を充実させて、解答をつけるのはもちろんのこと、難しい問題には(ネット上に)解説も示した(上記)。

「ゼミナールゲーム理論入門」との違い

「ゼミナールゲーム理論入門」は、図や数値例でゲーム理論の考え方を学ぶようになっていますが、概念の定義は言葉だけでなされています。また、独占やクールノー競争、オークションなど、経済学的な例をやや多く用いています。

これに対して「一歩ずつ学ぶ ゲーム理論」は、企画段階では「理工系のためのゲーム理論入門」という名前であったように、概念の定義に数式も用い、その意味を図や数値例で理解して、(まさに一歩づつ)ゲーム理論を学ぶようになっています。道路の混雑、交渉、投票、コーディネーションなど、例も盛り込んではあるものの、理論を学ぶことに重点を置いています。また「ゼミナール…」より、ややページ数を少なくしています。