じゃんけんで出やすい手

初心者にはパーを出せ

じゃんけんで出やすい手について。じゃんけんでは統計的にグーが出やすく、チョキが出にくいことが知られています。

もはや古典とも言える有名な結果は、桜美林大学の芹沢光雄教授のデータで「学生725人に、のべ11567回ジャンケンさせたところ グーが4054回(35.0%)、パーが3849回(33.3%)、最も少ないのはチョキで3664回(31.7%)」というものです。(例えば日本じゃんけん協会「勝利の法則」。なおこの記事は「2009年6月20日の日本経済新聞土曜版「日経プラスワン」に掲載された」とされているものが多いのですが、私が見たのはそれより前の読売オンラインでした。その記事では「卒論でそれを調べた学生がいた」というものだったと記憶しています。)

世界じゃんけん協会(The world rock paper scissors society) のホームページでも、出典は不明ながら「グーが35.4%、パーが35.0%、チョキが29.6%」となっていて(じゃんけんの戦略(rock-paper-scissors strategies)) やはりグーが一番出やすい手だと言われています。このことから、何も条件がなく初めての人とじゃんけんをするときは「パーを出すと勝つ確率が上がるので、パーを出せ」とされています。

ちなみに私のゲーム理論の講義では、この話をした後に学生とじゃんけんをしてみます。そして私はチョキを出すのですが、学生もこの必勝法を鵜呑みにして、パーを出すことはほとんどありません。相手も自分もこの事実を知っていると、その必勝法は使えません。

ゲーム理論における2人じゃんけんの解(ナッシュ均衡)は「グー、チョキ、パーを1/3の確率で出す」です。ゲーム理論では、相手が自分の行動を読んでも、自分も相手も利得がそれ以上は高くならない手を選び合うと考えます。 「グー、チョキ、パーを1/3の確率で出す」 以外の解は、それに従うことを相手が知れば、もう解にはならないのです。自分が興味があるのはこのような統計が人々に知られるようになると、人間の行動が変わり、統計が変わるのかどうかです(それについての考察はこちら)。10年後に調べてみると、じゃんけんではチョキを出す人が多くなっていると面白いですね。

2回同じ手であいこになったら、次はそれに負ける手を

他に有名な必勝法としては 「じゃんけんを続けてするときは「相手は異なる手を出しやすいので、いま相手が出している手に負けるような手を出せ」」と言うのがあります。例えばパーであいこになったとき、次は相手はパーと異なる手(グーかチョキ)を出しやすいので、グーを出せば勝つ確率は高くなる、と言ったものです。特に、2回同じ手であいこになったときは、相手が手を変える確率はずっと高くなります。例えばパーで2回あいこになったときは、3回目にグーを出せば勝つ確率はずっと高いと言われています。

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