「競馬の経済学」という本を監修しました

「競馬の経済学」という本を監修しました。「〇〇の経済学」というと、経済学にはあまり関係がないお金の流れが書かれている本が多いんですが、この本も、その類の気軽に読める本です(経済学者の皆さんごめんなさい)。

2022年には3兆円を超えたJRAの売上は、どのように使われるのか。競争馬は一頭いくらくらいなのか?一番賞金を稼いだ馬は?調教師の年収はいくらくらい?など、楽しく読めて、飲み会で使えそうなネタがいっぱいです!

競馬の経済学

「ゲーム理論と競馬とマーケット」など、私のコラムも3本ほど載っています。これを機会に本HPの賭けとゲームの科学の記事も増やしていきたいです。どうぞよろしくお願いします。

Amazon 競馬の経済学

備忘録:chromedriverが動かず、webdriver_managerからselenium managerへ乗り換え

背景

python+seleniumでchromeのバージョンアップに自動的に対応するために、webdriver managerを使っていたが、chromedriverのダウンロード環境が変わり、 webdriver manager がうまく動作しなくなった。したがって手動で chromedriver を更新しなければならなくなった。

しかし、seleniumの新しいバージョンにはselenium managerというのがデフォルトでついているようで、これを使うと webdriver_manager を使わなくても済む。これを使って上手くいくようになった。

対処した内容

(1)seleniumのアップグレード

pip install --upgrade selenium

バージョンが4.10.0以上になってくれればOK

(2)念のためwebdriver-managerをアンインストール

pip uninstall webdriver-manager

(3)コードからwebdriver_managerモジュールのimportを削除

from webdriver_manager.chrome import ChromeDriverManager

を削除

コメントアウトした

(4)ChromeDriverManagerを使っていた部分を変更

driver = webdriver.Chrome(ChromeDriverManager().install())

driver = webdriver.Chrome()

に変更。

これで動くようになったようだ、とりあえず。

参考にした情報

一歩ずつ学ぶゲーム理論

裳華房より2021年に出版した拙著「一歩ずつ学ぶゲーム理論」は初めて学ぶ者も数式でゲーム理論を理解できることを目指した教科書です.

モンティ・ホール問題の直感的説明は間違ってることが多い

まずモンティ・ホール問題について説明しておきます。

司会者(モンティ・ホールさん)と回答者がいて、回答者の前にはA、B、Cの3つのドアがあります。1つのドアは当たりで豪華な商品があり、回答者はそのドアを当てます。2つのドアはハズレです。回答者が「当たり」のドアを当てる、というものです。

まず、回答者がが当たりと思うドアを1つ選びます。ここではAを選んだとしましょう。司会者は、当たりのドアを知っていて、回答者が選ばなかったドアのうち、1つのドアがハズレであることを示します。ここではBのドアがハズレだと示されたとしましょう。

ここで司会者が回答者に言います。「あなたには、もう一度ドアを選び直すチャンスがあります。そのままにしますか?それとも変えますか?(stick or switch?)」
今回の場合、Aのまま留まるか?Cに変えるか?ということになります。

さて、回答者はドアを変更すべきでしょうか?それとも留まるべき?

この問題、AとCの2枚のドアのうち1つが当たりなので、変えても留まっても当たる確率は半々(1/2)のように思えます。しかしこの問題の答は「変えたほうが良い」です。留まる(Aのまま)だと当たる確率は1/3、変えると(Cに変更)当たる確率は2/3になります。

なぜ、そうなるかについては、ベイズの定理を使って、数々のネットの情報や本で説明されています。拙著「ゼミナールゲーム理論入門」でも「一歩ずつ学ぶ ゲーム理論」でも、もちろん解説されています。

「お、じゃあネットで検索してみようか!」と思ったあなた!ちょっと待ってください。この問題に対して「直感的に説明すると...」とした説明には、間違っていることが結構あります。本稿の意図は「直感的な説明は間違っていることが多いので、ベイズの定理で理解しましょう」ということなんです。

特に「確率は変わらない」的な説明は、間違いです。例えば「最初に選んだドアが当たる確率は1/3、それ以外が当たる確率は2/3だから、ハズレのドアを開けた後も、最初に選んだドアの当たる確率は1/3で、それ以外が当たる確率は2/3」と言う説明は誤りです。正しい説明は「情報によって確率は変わる」です。

最初に各ドアの当たる確率が等しいと、この「確率は変わらない」という説明も(たまたま)正しいように見えるのですが、最初に当たりやすいドアと、当たりにくいドアがあると考えれば、この説明が正しくないことが分かります。

A,B,Cのドアがあり、どれか1つが当たりだとします。ただし、Aのドアは当たりやすく当たる確率は0.5、Bは当たりにくく当たる確率は0.2、Cは0.3であるとします。

回答者は最初に(当たりやすそうな)Aのドアを選んだとしましょう。

ここで司会者(解答を知っている)は、選んでないドアからハズレのドアを1つ開けます。Bのドアが当たりならCが開き、Cのドアが当たりならBが開きますね。さて、Aのドアが当たりの場合はBとCのどちらを開けても良いのですが、ここで司会者がBとCのドアを開ける確率は同じ1/2であるとします(ここを変えると答も変わります)。

さて、司会者がBのドアを開けて、ハズレであることを示したとします。回答者はドアを変えたほうが良いんでしょうか?

「最初にAのドアが当たる確率は0.5、それ以外は当たる確率は0.5、この確率は変わらない」という説明だとフィフティ・フィフティで、変えても変えなくとも確率は1/2のような気がします。

しかし、この場合はAのドアのままだと当たる確率は5/11、Bに変えると当たる確率は6/11です。この場合は、やはりドアを変えたほうが良いです。

A,B,Cのドアが当たる確率が、それぞれ0.54、0.13、0.33として同じ状況だとしましょう。司会者がドアを開ける前は「Aのドアが当たる確率は0.54、それ以外は当たる確率は0.46」です。司会者がBのドアを開けたとき、回答者はドアを変えたほうが良いのでしょうか?確率は変わらない」のならば「Aのドアが当たる確率は0.54」なので、変えないほうが良いですね。

しかしこの場合も「Aのドアのままだと当たる確率は0.45、Cに変えると当たる確率は0.55」になります。司会者がドアを開ける前は、Aを選んだ方が、それ以外のドアが当たる確率より高いにも関わらずです!

計算方法は、ベイズの定理を勉強してください。このように、この問題は「直感的な」理解はなかなか難しいのです。ネットの説明でも「情報によって確率は変わる」という回答を読むと良いでしょう。

認知科学や認知心理学では、なぜ人間はこの問題に対して正しい答が出せないのか、どのような点が間違いを引き起こすのかについて研究されています(いました)。興味にある方は、以下の本を参考にしてください。

市川 伸一 (著)、日本認知科学会 (編集)、確率の理解を探る―3囚人問題とその周辺 (認知科学モノグラフ 10) (1998)/5/1

ちなみに、若い頃、先輩の金融工学の大家KJ先生(川喜田二郎氏ではないよ)に「認知科学にこんな研究があります」と話したことがあります。そのときKJ先生曰く:

渡辺君。こんな研究は意味ないよ。
皆んながベイズの定理を正しく理解すれば良いだけだ!

…でした。直感的な理解ではなく、ベイズの定理で理解しましょう。

日本オペレーションズリサーチ学会から普及賞

2023年3月、日本オペレーションズリサーチ学会から普及賞を頂きました。嬉しいです。

評価された活動は、ORセミナーでの学会の貢献や理事や幹事などでの貢献でした。特に、OR学会が公益法人になるときへの貢献を評価していただいたようです。

これらは、一緒に普及に協力して頂いた皆さんや先生方のおかけでもあり、私だけ賞を頂いて恐縮しています。皆さんに感謝です。


同じ表彰式では、研究室の先輩である吉瀬章子先生(筑波大学)が、業績賞という栄誉ある賞を受賞しました。嬉しさ倍増です。

2023年第1回O Rセミナー 『エンジニアのためのゲーム理論-ビジネスへの応用とマーケットデザイン』

5月26日(金)に、私がオーガナイザーを務めさせて頂き、2023年第1回O Rセミナー 『エンジニアのためのゲーム理論-ビジネスへの応用とマーケットデザイン』をオンラインで開催致しました。

今回は(あの)東京大学マーケットデザインセンター長の小島武仁先生、慶応大学の松林伸夫先生と私でセミナーを行いました。


プログラム等の詳細はここにあります。

当日は50名余りの方にご参加いただきました。ありがとうございました。

サッカーのPK戦をゲーム理論で考える

フットボール批評という雑誌に、私のインタビュー記事が掲載されました。サッカーのPK戦をゲーム理論から見ると言うものです。

フットボール批評issue39(アマゾンへのリンク)

私の本などで紹介しているPK戦の混合戦略の話(例えばこちら)と、Ignacio palacious-Huerta (2003)のヨーロッパリーグでの実証研究 “Professionals Play Minmax”などを紹介しました。

フットボール批評という雑誌は、その前身のサッカー批評という雑誌から数えると20年近く続いている雑誌だそうですが、今号をもって休刊となるそうです。複雑な気持ちです。

篠原じゃんけんとその解

篠原さんというゲームデザイナーの方が発案した「よくばりじゃんけん(または、篠原じゃんけん)という面白いじゃんけんがあるそうです。

知らなきゃ損する? ボードゲームに欠かせない「ゲーマーじゃんけん」と「よくばりじゃんけん」のルール

そのナッシュ均衡を一橋大学の宇井先生が求めています。以下に、宇井先生の原稿があります(篠原じゃんけんの説明も、その中にあります)

「よくばりじゃんけん」の分析

宇井先生の求め方は秀逸です。このじゃんけんは、グーを出すと、それによって脱落する人が出て人数が変わるため、普通は再帰的にしか求められないのですが、宇井先生は混合戦略均衡の性質と対称性をうまく利用して、きれいに解かれています。

多人数で勝者を決定するじゃんけんには「わたなべじゃんけん」がありますが、「生き残るかどうか!」というゲーム性と面白さは、さすがゲームデザイナー!ですね。

ゲーム理論で高校生の探究学習!

2022年10月に、八王子東高校で講義した「ゲーム理論で探究学習!」のスライドです。

(スライド)ゲーム理論で探究学習!(PDF)

高校1年生を対象としたものです。

2021年度から、八王子東高校のゲーム理論をテーマにしたプロジェクトに協力させて頂いてます。身近な問題や社会の問題を、簡単なゲーム理論のモデル(数理モデル)によって考えることで、抽象的思考力を高めたり、そのモデルを分析することで探究的な見方や考え方を深めることを目標としています。

2021年は、囚人のジレンマやコーディネーションゲームを中心にゲーム理論そのものを教えるような講義をしました。しかし、短い時間(50分)でゲーム理論を紹介するのは難しく、その効果はほとんどないように思えました。そこで、今回は生徒さんが拙著ビジュアルゲーム理論でゲーム理論を勉強していることを前提にして、どのようにゲーム理論を探究学習につなげるか、を講義することとしました。

問題に詳しくなろう

身の回りの物事を、簡単なゲーム理論(利得行列、ゲームの木)で考えてモデル化して答を出し、実際の自分たちの考え方との違いを議論をしたり、利得を少し変えて結果がどのように変わるかを探究したりして、論理的に物事を分析する力、考える力を身につけてもらえないだろうかと考えています。

朝日新聞「グリコじゃんけん」にコメント

朝日新聞の記事「グリコじゃんけん、いつからあった?」で、グリコじゃんけんの必勝法について、コメントしました。

本サイトのグリコ・チョコレート・パイナップルゲームのゲーム理論による解をもとに、記者さんから取材を受けたものです。

記事には、以下のデジタル版(2022年9月1日版)もありますが、有料会員しか読めないようです(^^;)
グリコじゃんけん、いつからあった?(朝日新聞)